2022年9月13日火曜日

現代スポーツの全体像

  ターザン山本と言えば、つい先日、76歳で新しい彼女ができたと話題になった人物だが(※1)、その彼が去る8月30日に放送された自身の番組(ちなみに、私は彼の番組を“喫茶ヤマモト”と呼んでいる(笑))で、「野球は郷土意識を残した最後のジャンルで時代遅れのスポーツである」という持論を展開した。なるほど、彼の言うように、確かに野球は、日本なら北海道,仙台,福岡,広島,名古屋、アメリカならボストン,シカゴ,ニューヨーク,ロサンゼルスといった具合に地域社会に根差しているし、野球はサッカーなどとは違い制限時間が無い以上、テレビにはそぐわない = 時代遅れのスポーツだと言えそうだ。しかし、野球というのは、彼の言うように、本当に郷土意識を残した最後のジャンルで時代遅れのスポーツなのだろうか?
 まず、野球は郷土意識を残した最後のジャンルであるということに関して言えば、亡くなられた大橋巨泉さんが述べているように、日本の野球の球団名は読売巨人や西武ライオンズといった具合に、企業名を冠しており、郷土意識を残したジャンルというよりも企業のPRのためのツールといった側面が強い。また、アメリカのBOSなら、ボストン・レッドソックス(MLB),ボストン・セルティックス(NBA),ボストン・ブルーインズ(NHL)といった具合に、郷土意識を残したジャンルは、単に野球のみならず、他のプロスポーツも同様だと言える。
 次に、野球は制限時間が無く時代遅れのスポーツということに関して言えば、それは何も野球に限ったことではなく、テニスも野球同様に時代遅れのスポーツだと言うことができる。NFL > MLB > NBA > NHLがアメリカ4大スポーツの人気およびマネーの序列で、ターザン山本が主張するように、野球はアメリカンフットボールに比べ人気の無いスポーツだからこそ、大谷翔平がそれほど話題にならないというのは、実際、その通りだ(※2)。しかし、野球やサッカーに比べ必ずしも人気があるとは言えない日本の相撲同様、それ故に野球はアメリカの国技 = 時代を超越した競技たりえるのではないか。
 このように、ターザンの主張というのは、かなりイイカゲンなものなのだが、こういった持論の展開は何も今に始まったことではなく、プロレス雑誌の編集者だった頃から全く変わっていない彼の長所(?)で、きっと、彼の中に流れる“猪木イズム”がそうさせているのだろう。彼は今、斎藤佑樹(球場というのは、靴に刃物の付いた凶器、ではなくスパイクを履いて野球の試合をする会場 = 闘技場であって、そこにハンカチといったヤワなアイテムを持ち出す人間が大成などするはずがない)、朝倉ナントカ(とうに峠を越えた自分より15歳上のボクサーに勝って、一体、何の意味があるのか?)、ガーシーといったツマラナイ選手や政治家を持ち上げている。
 こういったツマラナイ選手とは対照的に、今年の全米オープンは素晴らしい選手の優勝で幕を閉じた。

 1.9月11日 = 全米オープン女子決勝
 2.タイキシャトル = 仏ジャックルマロワ賞(GⅠ)の勝ち馬から、私は今年の札幌記念の予想で、今年の全米オープンを制するのは、今年の全仏オープンの覇者であるイガだと予想した。
 3.9月10日および9月11日の重賞レースの結果

 9月10日 紫苑S   7枠⑨番コルベイユ   12着=下から1着
               父:リーチザ「クラウン」=“王”冠(※3)
             母の父:タイキシャトル

 9月11日 京成杯AH 7枠⑪番ファルコニア         1着
             7枠⑫番ミッキーブリランテ 岩田康誠 2着

 この結果を見て、私は一瞬、「岩田J騎乗の7枠レッドガ『ラン』
= ミッキーブリ『ラン』テが1着なら奇麗なのにな」と思ったが、7⃣―7⃣という決まり目を見た次の瞬間、私はなるほどなと思った。詳しい説明は割愛するが、決まり目がゾロ目の場合、JRA競馬では、1着馬を2着馬に付随する馬だと考える暗黙のルールがある。つまり、このレースの主役は2着馬のミッキーブリランテなのだ。そして、その2着馬に付随する馬は、どうしても1番人気でなければならなかった。

                Winner

 9月10日 紫苑S    スタニングローズ 1番人気
   11日 全米オープン Iga Swiatek   1番人気
       セントウルS メイケイエール  1番人気
       京成杯AH  ファルコニア   1番人気

 イガ、全米オープン優勝おめでとう!!!

※1…ターザン山本は、最近できた新しい彼女に「頑張れ」という言葉を禁じたそうである。映画評論家の蓮實重彦氏やタレントのタモリもまた、彼同様に、この言葉には否定的である。彼らに共通するものは一体何か?それは、いずれもが老人だということである。
筋力トレーニングは、もうこれ以上できない状態から、あと1回頑張るかどうかで、その効果が全く違ったものになる。頑張ることを否定しようとしまいと、いずれ頑張りたくても頑張れない時というのは嫌でもやって来るのだから、私は先のような体よりも頭の発達した人間ではなく、いつまでも限界に挑戦するカール・ゴッチさんのような頭と体が共に発達した老人になりたいなと考えている。
※2…スポーツ新聞やプロレス雑誌の記者では決して発想できない現代スポーツの全体像を以下に簡単に示しておく。 

       Daily       Weekly

PointSpred NBA       NFL     10~3

  MoneyLine テニス                通年
        MLB / プロ野球  Jリーグ     4~9月
        NHL       欧州サッカー  10~3


        地方競馬      中央競馬

ちなみに、私は海外の某サイトでスポーツブックのプロに認定されている唯一人の日本人でもある。今後、会員専用サイトでは、上記のパースペクティヴに基づいたスポーツの記事も投稿する予定なので、興味のある方は是非ご一読を。
※3…恐らく、私よりエリザベス女王に思い入れのある人間は、日本人のみならずイギリス人にもそれほどいないのではないか?まだ、私が競馬を始めたばかりで、徹夜で予想する日がザラにあった頃(今年の9月で競馬歴14年)、井崎脩五郎さんの「女王陛下の1レースのベット額は約2000円で、自分の馬には約5000円賭けられるそうです、少しセコイ気もしますが(笑)」といった話や「フィリップ殿下と別居中だった女王は、ひとり寝している時、いつも競馬の予想をしているという記事が新聞に出た」といった話を聞いて、「これはオレの事じゃないか!」と強く思ったものである。そのエリザベス女王の母君であるクイーン・マザーは、アフリカ旅行から帰国した際、国事に関する事ではなく競馬のレースの結果をまず最初に聞いたそうである(最高!)。エリザベス女王のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


・第58回札幌記念予想 
https://umanity.jp/coliseum/coliseum_view.php?user_id=a59884603d&race_id=2022082101020411

2022年4月14日木曜日

ドラマ黄金時代

 つい最近、私は『あすなろ白書』『輝く季節の中で』『ナースのお仕事』といったドラマを見た。ちなみに、これらの作品は全て私が高校生の頃に放映されたものだが、この頃の私はダンスやクラブ・ミュージックに夢中で(※1)、テレビをあまり見なかったため、『あすなろ白書』以外はリアルタイムで見ていない。そんな私にもテレビが生活の中心だった時期があり、中でも織田裕二が出た作品群は私の中で1つの物語を形成するくらい、当時の私に大きな影響を与えた。以下はその作品群で、私はこれを『ビバ・織田裕二~The very best of Yuji Oda』と名付け、今でも時々見返している(※2)。

ー<ビバ・織田裕二>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
①映画『湘南爆走族』(1987
  現在、とあるYouTubeの番組で、この映画の裏話を聞くことができるが(この映画はそれほどメジャーな作品ではないので、とても貴重!)、それによると、織田裕二はクランクインの直前にバイクの免許を取ったため、撮影が大変だったんだとか。予備校ブギ』には彼がバイク(SR?)に乗るシーンが登場するが、その話を聞いた後にこのドラマを見ると、ちょっと笑える(笑)
➁『予備校ブギ』(1990
 ↳ 高校卒業後、織田裕二は浪人して大学を目指す。『はいすくーる落書』(1989)の的場浩司と予備校で合流。もちろん織田裕二の大ファンだった私が浪人したのは言うまでもない(爆笑)
③映画『就職戦線異状なし(ゴールデン洋画劇場)』(1991.6
 ↳ 早稲田ゼミナールから大多亮さんの母校である早稲田大学へ。某スポーツ用品メーカーに就職。
④『東京ラブストーリー』(1991.1~) 
 ↳ サラリーマン金太郎ならぬサラリーマン織田裕二。
⑤『お金がない!』(1994
  フジテレビの内定を辞退したことが祟ったのか、勤めていた会社が倒産。しかし、ひょんなことからユニバーサル・インシュアランスという保険会社の社員に。イーデザイン損保のCMを作った人間はエライ(笑)
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 こうやってドラマを見ると、過去の作品がこれまでとは違った輝きを放つのだから面白い。そして、今回、先に挙げたドラマからも以下のような収穫があった。

ー<けいいちメモ>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
①『あすなろ白書』(1993
 
 石田ひかり主演。長らく『ママハハ・ブギ』(1989)のイメージが強かったため、石田ひかりというのは、こんないい女優だったのかと驚かされた作品。※UNDER COVERYシャツを着た藤井フミヤのシングル・ジャケットが懐かしい。
②『輝く季節の中で』(1995
 
 石田ひかり主演。『若者のすべて』(1994)で武田真治扮する青柳圭介の志望校である文京大の医学部ではなく文京医大が舞台。クリスマス・ツリーが映るシーンで『あすなろ白書』の音楽が流れるのが嬉しい。/ 中居正広扮する樋口慎一は途中から医者ではなく教師になることを目指すが、その夢が見事実現(?)したので、ドラマ『勝利の女神』(1996)のチェックもお忘れなく。/ 私は昔から長塚京三さんが好きだったが、この作品で一気に大ファンになった。しばらくは“長塚京三祭り”かな?
③『ナースのお仕事』(1996
 ↳ 『輝く季節の中で』で高槻先生を演じた長塚京三さんがコミカルでホッとする作品(笑)ちなみに、長塚京三さんの役名は沢田俊介。沢田は、マルファン症候群の権威のあの澤田ですよね。フジテレビは仕事がよく出来る(笑)/ 松下由樹さんは仕事に打ち込むがゆえに婚期を逃す極めて現代的なキャリア・ウーマンの役を演じているが、現在、松下由樹さんは、それを地でいっているのだから面白い。なるほど、婚期を逃すくらい仕事に一生懸命だったから、松下由樹さんは、あんないい女優になったのか!
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 小西甚一さんや和田誠さんの本ではないが、今後は、こういったメモを更に増やして、そこから日本の歴史(現代史)あるいは文化史といったものが浮かび上がるような本が書けたらなと思っている(なお、私の書くものは、大多亮さんの本(名著!)から抜け落ちた名作がいくつも登場する予定なので乞うご期待!)。もちろん、そのためには、これまで以上にドラマや映画の鑑賞に多くの時間を割かなければならない。なので、本が完成するまでの間は競馬予想および「教養競馬シリーズ」の執筆をお休みすることにしたい。何卒ご了承くださいませ。
 ところで、なぜ私はドラマの本を書こうと思い立ったのか。それは、人の記憶というのは、想像以上に人間を支配しているんだなということを改めて痛感したからである。『ナースのお仕事』のあのコミカルで可愛らしい観月ありさちゃんの現在の姿が、どれだけ私にショックを与えたことか!きっと、私がテレビを見なくなったのは、人間の防衛本能によるものだったのかもしれない(ありさ様、ゴメンナサイ)。かつて私の生活の中心を占めていたテレビ(その多くはフジとTBS)は、今やショートして儲かる株の銘柄に変わり果ててしまった。しかし、もしフジが『お金がない!』で小さな会社を興した織田裕二のその後のドラマを放映するようなことがあれば、その時はリストラで慌ただしいこの会社の株4676を目一杯ロングしてみようかななどと考えている。何はともあれ、テレビドラマ万歳!

 
※1…大親友のKE子ちゃんへ。インクスティック等、当時一緒に遊んだクラブの話を色々したいので、もし私の電話番号を覚えていたら、暇な時間にでも連絡ください。
※2…

 


2022年3月31日木曜日

英文読解のススメ

 本日、ロイターの日本語版で「プーチン氏に側近が戦況の「誤情報」、軍指導部と摩擦=米報道官」といった見出しを目にした。相変わらず、しょうがないなという感じだが、この見出しにある誤情報という言葉のオカシさについては既に過去の記事で何度も述べた。なので、今日は少し趣向を変えて、なぜ、この見出しを書いた人間は、こういったオカシな言葉を用いてしまったのかについて検証してみることにしたい。
 「Putin misled by 'yes men' in military afraid to tell him the truth, White House and EU officials say」これが先の見出しのもととなった英文だが、この英文に「情報」といった言葉は一切出てこない。それでは、なぜ、日本語の見出しを書いた人間は「誤情報」などというオカシな言葉を用いてしまったのか?それは、彼(彼女)がイエスマンは真実を伝えることを恐れているから、それとは逆の虚偽(真実の反対は誤りではなく虚偽)の情報を伝えていると解釈してしまったことに由来する。【イエスマン】というのは、それが虚偽だと分かっていようがいまいが、トップの意見に異を唱えない人間のことを言う。つまり、Putin the truthmisled by 'yes men' in military Putin そして afraid to tell him the truth yes men をそれぞれ修飾する be の省略された形容詞)は、あくまでイエスマンが虚偽だと分かっていることを示しているに過ぎないのであって、報告したかどうかについては何も言っていないのである。故に、私なら「戦況を見誤る独裁者(経営者ならワンマン社長)のプーチン氏」とする。
 ところで、この英文には mislead の 過去分詞である misled が登場する。この mislead で思い出されるのが、鷲田先生が20211105日に書かれた「読書日日」に登場する「誤誘導」という言葉である。私より多くの本を読んでいる先生のことだから、もしかしたら、何かの本で見たものそのままに、この語を用いられたのかもしれない。しかし、私は「世論をミスリード」するといったフレーズは幾度となく目や耳にしたが、「誤誘導」といった言葉は、先生の日記を読むまで、ついぞ、1度も目にすることはなかった。【mislead】の訳は「①〈人〉を誤った方向に導く[案内する];〈人〉をだまして〔…〕させる〔into〕➁〈人〉を悪事に誘い込む ③〈人〉を欺く, 誤解させる」だが、ここはミスプリント同様、圧倒的多数を占める「ミスリード」でいいのではないだろうか。
 先生が書かれた日記で他に気になったものと言えば、20220114日に書かれた『国家と教養』批判が挙げられる。先生は物書きになって以来、作家の山本周五郎から譲り受けたであろう「売れる本はいい本だ」というテーゼを一貫して主張してこられた(もちろん、私が10代後半の頃に手にした本にも登場する)。そして、私もこの主張に大きな影響を受けた。しかし、今になって思うのは、もし先生の頭に以下のような図式が浮かんでいたら、きっと、矛盾した気持ちを抱えずに前作の『国家の品格』を批判できたのではないかということである。

      売れる本 売れない本

  良い   ②     ①

  悪い   ③     ④

 「悪貨は良貨を駆逐する」あるいは「良薬口に苦し」は共に「売れない本はいい本だ」を意味する。   
 最後にもう1つだけ挙げるとすれば、先生が2022年128日に書かれたバラマキの肯定だろうか。かつて、先生は小沢一郎氏が書いたとされる『日本改造計画』を非常の高く評価していた。その『日本改造計画』で小沢一郎氏が主張するのは、「地域で出来ることはなるべく地域でやり、国家の役割を小さくする」といった社会主義的な政策とは対極に位置する政策である。それに対し、バラマキというのは、大きな政府だからこそ実現可能な政策だと言える。これは、どう解釈すべきなのか?いつか機会があったら、先生に聞いてみたい。
 その先生に絶大な影響を与え、山本周五郎同様にPOPな存在だった故・吉本隆明氏は『反核異論』で技術の進歩の否定を否定する。しかし、原発が他の技術と決定的に違うのは、そのリスク = 保険料だというのを宮台真司さんのネット番組で知った時、私は「なるほどな」と思った。そして、中2の時に吉本さんにハマった宮台さんは、こうも言う。「もし吉本さんが、もう少し外国の文献を読んでいたら、時代遅れの議論をせずに済んだのではないか?」やっぱりニュースは英文に限る!


・参考文献)長谷川慶太郎著『日本は「環境力」で勝つ!』

2022年1月22日土曜日

言葉は歴史の産物(2)

 つい最近、こういった見出しをネットで見かけた(もちろん、中身には目を通していない)。①「津波注意報で神奈川県 緊急速報メール、誤配信20回」(神奈川新聞)➁ 「高校教師、大学共通テストの自己採点結果などの情報を誤送信 関係のない人物に送付」(リアルライブ)。誤+2字熟語は誤りであるというのは、前回の記事である「言葉は歴史の産物」のコメント欄で口酸っぱく言ってきた。それにも関わらず、その後も、この「誤+2字熟語」といったオカシな言葉をたびたび見かけるので、今回はテーマを、この金のなる木、ではなく誤+2字熟語一本に絞り、それについて述べていくことにしたい。
 郵便などを間違ったところへ配達することを【誤配】というのに対し、電報を間違ったところへ配達することを「誤配達」という。これを見て、多くの方が「なーんだ、アイツは誤+2字熟語は誤りだなどと得意げに語っていたが、誤+2字熟語はちゃんと存在するじゃないか」と思われたかもしれない。しかし、ちょっと待ってほしい。この誤配達という言葉は、(なぜ区別しようとしたのかは分からないが)郵便と電報を区別するために、誤配に達を加えたものであって、もともとは同じ「誤配」だったのである。つまり、この誤配達という言葉は、誤+配達ではなく、誤配+達だというわけである。
 そうであれば、先日、コンコルディアFG(7186)をショートするキッカケとなった「誤配信」という言葉も、誤配+信と解釈できるので正しいのではないかと思われた方が、もしかしたらいるかもしれない。しかし、両者が決定的に異なるのは、その対象物である。配達が郵便物を対象としているのに対し、配信は郵便物でないものを対象にしている。郵便物でないといった曖昧な表現になったのは、この「配信」という言葉が、ここ20年くらいの間にできた新しい言葉で(i-pad が発売された頃くらいか?)、定義が明確でないことによる。
 それにしても、この配信という言葉は、本当によく分からない言葉だ。配信とは一体何なのか?定義が明確でない以上、この言葉が使われるニコニコ生放送や You Tube から意味を抽出するしかないのだが、あれらを見る限り、配信と呼ばれるものは、放送という言葉を用いればよいだけであって、わざわざ配信という言葉を使う必要性は感じられないし、もし【放送】がテレビやラジオのような電波を用いた媒体を指すというのであれば、電子メールよろしく(インター)ネット放送とすればよいだけの話だ。また、音楽の場合は放送というわけにはいかないが、これだってダウンロード・サービスとすれば、それで済む話。いずれにしろ、配信という言葉が対象にしているのは郵便物ではない以上、誤配+信といった解釈は成り立たないと言える。
 ところで、最近、私はニコニコ生放送や You Tube の出演者や視聴者の間で盛んに口にされている「インフルエンサー」という造語が気になってしょうがない。インフルエンサー(爆笑)恐らく、彼(彼女)らは、「影響力のある人物(influence + r)」という意味で用いているのだろうが、influence という単語には、それ自身に「影響力を及ぼす人」といった意味があり、また、そういった人間は勢力家や有力者と呼ばれ、英語では an influencial man と表現される。どうやら警戒すべきはコロナの感染だけではなさそうだ。
 誤配達という言葉は、あくまで誤配の意味を明確にするための超法規的措置だというのは分かった。そうであるならば、私が三菱UFJ FG(8306)をショートするキッカケとなった「誤送信」という誤を含んだ3文字の言葉が成立するためには、やはり、「誤送」という言葉が必要になるわけだが、残念ながら「誤送」という言葉は日本語には存在しない。故に、コチラは「送信ミス」とする他ない(※1)。
 ここで1つ注意したいのは、我々が普段、何とはなしに口にしている「メールを送信する」といったフレーズである。このメールは郵便物を指すわけだが、では【郵便物】とは何かと言えば、それは平たく言えば郵便局がやりとりする手紙や小包などのことである。では、私が送信するメールに郵便局(日本郵政)が介在してるかと言えば、もちろん、そんなことは全くない。我々が書いて送っている文章は、下駄箱の中に入れても相手に届くラブレターの類である以上、メールよりはレターの方がベターだし、もっと言えば、【送信】に相当する transmission は transmission of a message といったコロケーションをつくるのだから、メールではなくメッセージがベストなのである。つまり、「メールを送信する」といったフレーズは誤りで、日本人にもう少し英語の知識があったら、こういった誤りは避けることができたのかもしれない。
 いや、仮に英語の知識があったとしても、この問題に関しては、きっと避けることはできなかっただろう。というのも、このメールというのは、アメリカの会社が提供する映画『ユー・ガット・メール』(※2)の「(E-mail」を単に日本語に訳したに過ぎないものであって、日本人が誤って使い始めたものではないから。今現在、アメリカが日本以上にコロナで苦戦しているのは、この事と無関係ではないだろう。だからこそ、私はこの時期にメールという言葉の誤りに気付いたのだとも言える。それにしても、20年以上も間違った言葉を使わされていたなんて!!
 そういったわけで、今回、私は①誤配信 → 神奈川新聞とともにテレビ神奈川に出資してる横浜銀行の親会社であるFGコンコルディアFG、➁誤送信 → リアルライブを所有するLDHの主要株主であるモルガン・スタンレーの持分法適用会社である三菱UFJ FG(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)をショートしてみることにしたい。果たして、これらの会社(株価)の運命や如何に?


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 なぜ、英語の接頭辞である mis の訳は「誤」ではなく「誤って[た]」なのか。それは、日本語には[誤 + 二字熟語]といった言葉が存在しないからである!
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※1…以前、私はM新聞が誤った記載を「誤記載」とした際、「正しくは誤記載ではなく記載ミス」と指摘して、この新聞社と関係の深いテレビ局の株でいくらか儲けたことがあったが、これは【誤記】とすれば、それで済むのであって、わざわざ「記載ミス」などとすることもない。それにしても、いくら日本の政治がダメだとはいえ、さすがに、国会議事堂の背景に写りこむようにテレビ局の社屋を建てるのは良識が無いというものだろう。民放で真っ先に潰れるのはこの局だと言われて随分経つが、この意見には私も同調せざるをえない。
※2…『ユー・ガット・メール』は非常に泣ける映画だったが、それは、きっと私の大好きなドラマの1つである『夏子の酒』(同じ和久井映見主演の『妹よ』とはエライ違い!)に通じるものがあるからだろう。ノーラ・エフロン監督もこのドラマを見たのかな?