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2013年1月14日月曜日

理想的な日米関係

 日本人に多大な利益をもたらしてきた日本国憲法が、現在ネックになっているということは、衆院選前に「大衆への反逆」で触れました。日本国憲法というのは、アメリカの軍事力を背景に成立しているわけですから、見直すというのは、すなわち、戦力を否定している憲法9条を改正することに他なりません。かつて“改憲派グループ”と呼ばれた政治家が念頭に置いていたのもこの問題です。やはり、今後の日本のためにも、憲法は改正すべきなんでしょうか。

 
まず、一口に「戦力」と言っても、それには2種類あることに注意しなければいけません。日米安保というのは、あくまで“核抑止力”をアメリカに依存しているのであって、在日米軍が日本を守っていないというのは、田岡大臣の指摘するところです。ですから、通常戦力に関しては、自衛隊がその役割を果たしています。つまり、国防のためであれば、現行の戦力(実力?)でも十分可能であり、日中戦争は安倍政権に特有のものではなく、野田政権であっても起きえた事柄だといえます(注1)。もっとも、日本が中国と戦争することはありませんが。

 であるならば
、憲法改正というのは、アメリカの核に依存しない=核の保有を意味することになります。ただこれも、自衛隊というのは「実力」であって、憲法の禁止する「戦力」には当たらないとの政府見解を取る限りは、状況により可能です。しかし、「原発の黒幕は外務省?」で述べたように、核を保有することにメリットはありません。また、東アジア諸国に対して脅威を与えるばかりか、アメリカが認めないので現実的には無理でしょう。ですから、9条を改正することによって何か変わるかといったら、そんなことはないわけです。

 どうやら
、日本がアメリカに依存しないのは難しそうです。では、核を保有せずに、強まるアメリカの対日要求をかわすにはどうしたらいいでしょう。それにはまず、アメリカが軍事の介入に積極的でないということが望ましい。政党でいえば、共和党でもネオ・コン=グローバリストではなく、アイソレーショ二スト(国内問題優先派)がそれに当たります。あるいは、ブッシュ政権で勢力均衡論(注2)という立場にあったコリン・パウエルのような人物ということになる。この辺のことは副島卿(笑)が詳しいですが、今後もアメリカ政治には注目です。


 安倍晋三は国防軍の創設ということを言っていますが、こと日本の防衛に関する限り、憲法9条を改正するまでもなく、既存の自衛隊(法)で十分間に合います。それよりも、日本にとって重要なのは、パウエルやライスといった優秀な人物との関係を密にすることです。軍事力によるアメリカの一極支配というのは、世界の治安を維持するものであると同時に、いつでも相手をひれ伏すことのできる両刃の剣であることは、よく肝に命じておくべきでしょう。





 注1・・・ネットでは今、中国と戦争させるためにアメリカが安倍晋三を首相にしたということが囁かれています。もちろん、与太話の類に過ぎませんが、ただ、メチャクチャな政策ばかりやろうとしているので、そう思いたくなる気持ちも分からなくはありません。来週はそれについて書く予定ですが、それまで政権は存続してるかな?(笑)



 注2・・・このテーマを最も端的に著しているのが、青木保氏による文化の否定性です。随分昔に東大の入試でも出題されましたが、非常に難しい問題だといえます。











2012年12月16日日曜日

大衆への反逆

 先程、ある芸人のツイートをチラッと見ていたら「選挙に出る人にバカもいるが、選挙に行かなくてもイイという人は本当のバカ」というのがありました(50年も生きてきた人間のアドバイスとしては、少しばかり寂しい)。本日は、わがUK内閣のマニフェストを公表する予定でしたが(笑)、衆院選投票日ということもあるので、これについて先に検討することにします。

 まず初めに
、日本には憲法に体現されている「国家理念」というものがあります。次に、憲法99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」とあるので、政治家は憲法の枠内から出ることができません。よって、仮に共産党が政権を奪取したとしても、極端な話、自民党とやることは何ら変わらないということになります。国家理念が同じなわけですから。投票するのは趣味の問題であり、それほど意味がない。これが、選挙に行かなくてもいい第1の理由。

 ちなみに、日本人に経済的繁栄だけでなく、平和と安全、平等、女性の社会進出および地位向上などをもたらした、この極めて有益な『日本国憲法』は、アメリカの軍事力を背景に成立しています。それを“属国”というのでしょうが、それでも、ソ連と中国が対立している間は、それをカードにアメリカの無理な要求をかわすことができました。しかし、ソ連が崩壊した後は、アメリカの要求は強まるばかりなので、日本は憲法を見直す時期に来ているのではないか?これらのことを鷲田文部大臣(笑)に、著書を通して教えていただきました。

 話を元に戻しますが、では、自民党と共産党が同じであるにも関わらず、何故に選挙をする必要があるのか?
選挙というのは多数決で決まりますが、多数決というのは1人1票を原則としています。橋爪大三郎さんが主張するように、こういった“個人が一票に還元できる(=平等)”システムこそ民主主義のエッセンスであり、それを担保するために実施されるというのが私の考えです(注1)。この民主主義というのは、自由主義を実現するための手段である以上、選挙に行く行かないは自由である。これが行かなくていい2つ目の理由です。



 
では、反対に選挙というのは必ず行かなければならないものだと仮定します。この芸人は政治も分からずに、「あの人はカッコイイから投票する」「アイツは憎たらしいから入れない」といった理由だけで選ばれた候補者を良しとするのでしょうか(マンガしか読んでいない人間でも首相になってしまう!)。谷沢永一先生が言う「政治家がダメなのではなく、それを選んだ国民がダメ」というのはこのことです。これでも、まだ行かない人間がバカだと言えますか?分かる人間だけが投票した方が良い結果を得られるという学者もいるくらいです(注2)。





 日本の政治というのは上で述べた通り、誰が選ばれても、それほど何かが変わるわけではありません(首相がコロコロ変わってもOK)。しかし、もし仮に選ばれた候補者によって「国家理念」が変わるようであれば、政治の何たるかも知らないハンパ者のツイートを受け入れることは、“ポピュリズム”に陥る危険性があります。これが行かなくてもいい3番目の理由。自分なりに一生懸命考えたのでなければ行かないというのが、有権者に求められる賢明な態度ではないでしょうか?あるいは、嫌なヤツに投票してみるというのはどうでしょう?



 
注1・・・私が“一票の格差”の解消にそれほど積極的でないのも、投票によって代表者を決めるというのは二義的なことであって、平等を担保するためのシステムだと考えているからです。若干、循環論法の嫌いは有りますが…


 注2・・・


2012年11月25日日曜日

経済学概論②

  国内のマクロ政策では景気回復は如何ともし難いことは、前回確認しました。どうやら、自分の資産は自分で守るほかなさそうです。そこで、次回は②金(実物資産)への投資について触れるわけですが、その前に少しだけ国外に目を向けてみたいと思います。

 世界はこういった状況ですから、オカルト本、失礼、副島本によると、アメリカ大統領はオバマからヒラリーに代わるらしい。BAD COPであるヒラリーが戦争によって景気を刺激するというわけです。しかし、それで本当に景気が回復するんでしょうか?というのも、「昭和30年代以降」、株式投資の世界では、「戦争は売り」というのが常識になっているからです。恐らくこれは、ヘクシャー・オーリン・サムエルソンの定理(注1)によるものではないかと、私なんかは考えています。

 詳しくは『国民のための経済原論Ⅱ』に譲りますが、要するに、これまでレーニンの『帝国主義論』にみられた植民地支配というものが、実は貿易によって解決されることが証明されたわけです。この考え方を背景とした「比較優位説」というのは、相互に依存することを前提としているので、戦争は生産活動にとってマイナスでしかありません
。これは、将来にわたって大きな戦争が起こらないことを意味します。ヒラリー大統領誕生という予言は外れました(注2)。

 このように、我々はいま、相互依存による平和な世界に住んでいます。そこで起きるのは、戦争ではなく“通貨”の問題であり、どうやら不況の原因もここにありそうです
。「輸出国家」である日本にとって、アメリカと中国というのは最大のパートナーなわけですが、この2国に対して円は非常に高い。また、中国にとって日本は最大の輸入相手国なので、日中両国にとって人民元(レンミンビ)が切り上がるのは望ましい(注3)。それにも関わらず、なぜ人民元は切り上がらないのか?

 一見、アメリカが促しているのに対し、中国が必死で抵抗しているといった印象を受ける。しかし、今のままで好都合なのは、実はアメリカなのである。というのも、アメリカは昔から「輸入国家(=国内消費中心)」であり、中国はカナダと並ぶ最大の輸入相手国だからである。切り上げたいと思っているのは、どちらかといえば中国の方だろう。中国は輸入・輸出がほぼ半々なので、元が安いということに、それほどメリットがない。

 また、中国内部の政治といったものも、元の切り上げを阻んでいる。今までの中国経済というのは、元高に肯定的な北京派=共青団系ではなく、否定的な太子党が舵取りをしてきた。この上海閥を中心とした太子党には、海外にドル建ての資産を隠し持っている人間がたくさんいるので、元高を嫌っているというのが本書である。恐らく、これは本当でしょう。アメリカが彼らを支援しているというのも筋が通る。

 アメリカにとって日本はそれほど大きな輸入相手国ではないので、たとえドルが円より安くても、現状維持がいいというのは説明しました。日本はここをどうするのか?(注4)今後の中国の動向とともに注目です。



 注1・・・サムエルソン『経済学』(岩波書店、「初版1948年」)



 注2・・・


 注3・・・あえて入手する必要もないとは思いますが、経済データの簡易版としてなら、本書は利用価値大です。例えば、p.71にある元相場のグラフと日本の株価のグラフ(こちらは本書にない)を比べてみると、面白いかもしれません。もう少ししっかりしたものとしては、財務大臣である(笑)野口悠紀雄さんオススメの『経済統計の「超」読解術』があります。いずれにせよ、金利と物価ぐらいは、いつもチェックするよう心掛けましょう。
 注4・・・この問題を指摘したのは「飛耳長目」が初めてなので、今のところ、日本に対応できる政党はありません。ドルやユーロが安いのは、輸出のための戦略といった理解しかできないようじゃ困るよねぇ(笑)