2013年2月10日日曜日

ゆとり教育(後編)

 今までの教育がアヴェレージの能力を上げたのは確かであり、高度経済成長の時代には、それなりに効果があったのは間違いないでしょう。でも、18や19そこらで自分が何をやりたいかなんて、分からないのが普通ですね(注4)。これが大学を就職のためだけの機関にしているわけですから、「学びたい時に学べるようにする」ということが重要になってきます。また、安定期に入った日本には、それだけの余裕もある(ないのかな?)。例えば、一流のビジネスマンが夜間にニューヨーク大に通うといった光景は、今では当たり前になりました。 





 こういったことから、詰め込み式のやり方ではダメなのかなといった疑問も生まれてきます。ところで、いざ何かを学ぼうとしたときに、我々は急に何かを学ぶことができるのでしょうか?人間は大人になるにつれて、暗記よりも理解が先行してしまうので、無意味なことを暗記するのが辛くなってしまう。九九の暗記を今からやれといわれたらどうでしょう。子供にこういったことで後悔させないのが教育であり、ひいては大人の責務なわけです。最近はその大人もかなり怪しいですが…。そして、創造性というのも、この暗記(詰め込み)がベースになっています。

 ちなみに
、私は今でも古典文法(「るー、らる、すー、さす、しむ、ずー、じー・・・」)や歴代天皇名(「欽明、敏達、用明、祟峻・・・」)が口からスラスラ出てきますが、これを暗記したのは、かなり後になってからです。もちろん、丸暗記が得意だという個人的な事情もありますが、本当に何かを学びたいという熱意があれば、年齢はそれほど関係ないということだけはお忘れなく。かのシュリーマンだって、アラビア語を習得したのは晩年になってからなんですから。

 
“ゆとり教育”が批判されて久しいですが、社会がソフト化あるいは価値観が多様化したからこそ、こういった考え方が出てくるのであって、方向性自体は正しかったということに注意してください。仕掛け人だった寺脇研さんというのは、非常に能力の高い人ですから、暗記なくして云々といった苦労をあまりしなかったんでしょうね。安倍内閣は“週休2日制の廃止”ということを言っていますが、この点を理解しているかどうかが心配です。

 以上、何回かに渡って安倍内閣の政策を診てきましたが、政権が存続している間に、何とか書き終えることができてよかった。せっかく正しい答えが分かっていても、時間切れアウトじゃ点数が取れないって、違うか
(笑)



 
注4・・・日本というのは、谷沢先生の本にもあるように“東大法学部とそれ以外”しかないので、やりたいことが分からないという人は、とりあえず東大を目指すのがいいのではないでしょうか。でも、今はお笑い芸人やスポーツ選手が国民の代表だからなぁ…




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